いまや、スマホに無くてはならない機能となった急速充電。
ちょっとしたスキマ時間でスマホを充電できるため、便利に感じている方も多いのではないでしょうか?
しかし、中には「なぜかスマホが急速充電できない」といったケースもあるようです。
そこでこの記事では「スマホが急速充電できない原因と対処法」や「急速充電でスマホが劣化する」という噂を検証してみたいと思います。
スマホの急速充電とは?通常の充電とどう違う?
まず、「スマホの急速充電とは何か?」「通常の充電とどう違うのか?」について紹介します。
スマホの急速充電とは出力の高い充電器を用いることで、充電速度をアップさせる充電方法のことです。
通常の充電との違いは充電速度。急速充電では、およそ1/2から1/4程度の時間で充電が完了します。
参考までに急速充電に対応したiPhone 8以降のモデルは、30分間で最大50%の急速充電を行うことが可能となっています。
スマホが急速充電できない5つの原因と対処法
続いてスマホが急速充電できない場合に考えられる5つの原因と対処法を紹介します。
スマホや充電器が急速充電に対応していない
まず、考えられる原因は「スマホや充電器が急速充電に対応していない」というケースです。
ただ、Androidスマホはおよそ10年ほど前から急速充電に対応しているので、現在販売されている機種やここ数年の間に発売された機種は急速充電に対応していると考えて間違いありません。
iPhoneは2017年に発売されたiPhone 8やiPhone Xから急速充電に対応しています。
このため、iPhone 7より前の機種は急速充電に対応していないので注意して下さい。
充電器については急速充電の定義があいまいとなっているのですが、一般的には出力が10W以上であれば急速充電対応と考えられ、それ以下であれば非対応と考えられます。
また、USB PD(USB Power Delivery)やQuick Chargeの記載や刻印がある充電器は急速充電に対応しています。
一方、AppleはiPhoneで高速充電可能な充電器を次のように定義し、「約30分で最大50%まで充電可能」としています。
- Apple 18W、20W2、29W、30W、61W、87W、96W の USB-C 電源アダプタ
- USB Power Delivery (USB-PD) に対応する、互換性のある他社製の USB-C 電源アダプタ
出典 : Appleサポートページ
このため、iPhone11より前のほとんどのiPhoneに同梱されていた5Wの電源アダプタは急速充電に対応していないので注意が必要です。
スマホや充電器が急速充電に対応していない場合は、対応スマホを購入または対応している充電器を利用するしか対象方がありません。
たこ足配線で充電している
電源コンセントの数が足りずに、たこ足配線でスマホを充電している方も多いのではないでしょうか?
しかし、たこ足配線で複数の電気製品に接続していると、電力不足によってスマホが急速充電できないケースもあるようです。
スマホの急速充電でさえ、たこ足だと遅くなるよね・・・
— あつき💉済 (@riralife) March 2, 2021
このため、スマホの充電器はたこ足配線せず、単独でコンセントを利用した方が良いでしょう。
ワイヤレスで急速充電している
ワイヤレスで充電する場合、同じ出力の電源アダプターを利用してもケーブル付きの充電器に比べて充電速度が遅くなるので注意が必要です。
Twitterでは「ワイヤレス充電が遅い」という声が多く聞かれました。
ワイヤレス充電遅いな
一晩経っても40%→80%なのびっくりした— Hotarubi蛍火 (@bugkhdu) July 30, 2022
これは、ワイヤレス充電が「電磁誘導」という仕組みを利用してスマホと充電器で電力のやり取りをしているため。
「電磁誘導」では、電力を磁束(じそく)へ変換するのですが、ここで電力の一部が熱となり、ロスが生じてしまいます。
このため、急速充電のスピード重視であればケーブル接続で充電を行うことをおすすめします。
スマホは常に急速充電しているわけではない
スマホはバッテリー保護のため、急速充電している場合でも一定容量の充電が完了すると電力を弱めた「トリクル充電」に切り替える機能が備わっています。
例えばiPhoneの場合、バッテリー容量の80%までは高速充電を行い、以降は低速(低電力)のトリクル充電に切り替わります。
【参考】iPhone急速充電のしくみ
引用 : Apple
このため、スマホが一定容量まで充電されると充電速度が遅くなるのは正常な状態です。
スマホ本体の温度が高い
スマホには温度が高くなりすぎた場合に、スマホ本体を守るため充電速度を落としたり充電をストップする機能があります。
このため、ゲームなど高負荷なアプリを利用した後や炎天下で利用した後、一時的にスマホが急速充電できないケースもあります。
この場合、スマホ本体の温度を下げる必要があるのですが、「保冷剤を当てる」「冷蔵庫に入れる」などの方法で急激に温度を下げるのは絶対にNGです。
これは、急な温度変化でスマホ内部に結露が生じて内部基板やパーツに重大なダメージを与えるため。
スマホの温度が高くなりすぎた場合は電源を切るか、涼しい場所で徐々に温度を下げるようにしてください。
急速充電でスマホが劣化するのは本当か?
すでに紹介した通り、急速充電は高い出力、つまり大きな電流でスマホを充電します。
このためネットやTwitterでは「急速充電でスマホが劣化する」という話を目にすることも多いです。
急速充電と普通充電と較べたら、急速充電は負荷をかけるぶん、劣化は早いでしょうね。私の憶測ですが。
— なかむー / Nakamuu (@ynakamuu) July 31, 2022
しかし、結論をいえば急速充電でスマホが劣化する可能性は極めて低いです。
これは、「スマホは常に急速充電しているわけではない」の内容で紹介した通り、「トリクル充電」でバッテリーを保護しているため。
ただし、次のような場合には急速充電でスマホが劣化したり、場合によっては深刻なトラブル原因となる可能性があるので注意が必要です。
粗悪な充電器の利用
現在、ネットを中心に粗悪な充電器も数多く販売されています。
中には「電圧が高い物」「保護回路が組み込まれていないもの」など、バッテリーに深刻なダメージを与える充電器もあるようです。
サードパーティ製のバッテリー充電器の、電圧高過ぎて。
純正バッテリーの劣化%が加速してるな。
やっぱり粗悪品は使いたくねーな
— レイド (@Ray967_x) January 12, 2022
このため、充電器はメーカー純正の物や電気用品安全法に基づくPSEマークを取得した製品を利用するようにしましょう。
また、iPhoneの場合はMFi認証(Appleによる認証プログラム)を受けた充電器やケーブルを利用すると安心です。
引用 : Apple MFi Program
低温での急速充電
スマートフォンに限らず、バッテリーを充電するには電気イオンを正しく供給する必要があります。
低温下での充電では「電析」(でんせき)が起こることにより、電気イオンがうまく供給できない現象が起こりやすくなります。
この状況で充電するとバッテリーを著しく劣化させてしまう可能性があるので注意が必要です。
参考までに、スマホのバッテリーの利用環境は5°C〜35°Cが推奨されています。
充電する場合、利用する場合ともにこの温度内にとどめることが大切といえるでしょう。
まとめ
以上、「スマホが急速充電できない原因と対処法」「急速充電でスマホが劣化するのは本当か?」について紹介してきました。
最後にもう一度要点をまとめると次の通りです。
- 急速充電の利用方法や環境が原因で速度が遅くなるケースもある
- ワイヤレスの場合は急速充電でも速度が遅くなる
- 急速充電で高温な本体・低温な環境はNG
- 粗悪な充電器の利用はバッテリーの劣化や深刻なトラブルに繋がる可能性あり