携帯電話の値下げ競争が激化しつつあります。
その口火を切ったのが、ソフトバンク系サービスであるワイモバイルの値下げプランの発表です。
ただ、セカンドブランドの値下げであったために、些か懐疑的な目で見られたのは事実です。
そこで、ソフトバンクは2020年12月に改めて料金プランを発表して、大きな話題を呼んでいます。
また、ワイモバイルの値下げについても方向転換しています。
ここでは、ソフトバンクとワイモバイルの新プランについて徹底解説します。
ワイモバイル新プランの概要
引用:ワイモバイル
ワイモバイルでは、10月に新プランを発表したのですが、ドコモのahamoが登場したことによって一気に話題をかっさらわれた形となります。
そこで、仕切り直しとして新たにシンプルS/M/Lプランが発表されました。
5Gサービスの提供開始に合わせて、月額料金がずっと変わらないシンプルなスマートフォン向けの新料金サービスとして、2021年2月に提供開始される予定となっています。
3つの料金プランがある
シンプルS/M/Lプランでは、使用する容量に応じて3つのプランが用意されています。
シンプルS | シンプルM | シンプルL | |
月額料金 | 1,980円 | 2,980円 | 3,780円 |
データ容量 | 3GB/月 | 10GB/月 | 20GB/月 |
通信方式 | 4G/5G | 4G/5G | 4G/5G |
データ容量超過時の制限 | 最大300kbps | 最大1Mbps | 最大1Mbps |
通話料 | 20円/30秒 | 20円/30秒 | 20円/30秒 |
シンプルSでは、3GBと使用量がとても少ない方向けのプランでありますが、月額1,980円という低価格が魅力的です。
ただ、データ容量超過時の制限が最大300kbpsと、とても少ない設定となっている点に注目です。
確かに低価格は魅力的ですが、実際に利用の視野に入れたいのがシンプルMとなります。
月額2,980円で月10GBまで利用できます。
ほとんどのユーザーが、月7GBも使用していないという事実もあるために、余裕を見て10GBに設定していると推定されます。
データ容量超過時の制限も最大1Mbpsと、仮に制限がかかってもSNSの投稿レベルであれば困ることはありません。
テザリングなど、余裕を持って利用したいという方向けのシンプルLでは、月20GBの容量で3,780円という設定となっています。
通話料については、いずれのプランにおいても20円/30秒の設定です。
5Gサービスに対応
ワイモバイルの新プラン発表に伴い、ワイモバイルで正式に5Gサービスがスタートされることになりました。
格安スマホに位置づけられているサービスでは、通信速度よりもまずは料金の安さが求められる傾向があります。
その一方で、本格的に5G対応機種がラインナップする中で、5Gに対応するかどうかに注目が集まっていました。
そこで、ワイモバイルは早々のタイミングで5Gサービスに対応することになった形です。
シンプルS/M/Lのすべてのプランにおいて、4Gと5Gの共通プランとして提供されます。
ソフトバンク新ブランドの概要
引用:LINMO
2020年12月22日に、ソフトバンクはメインブランドのソフトバンクのオンライン専用ブランドいう位置づけの「SoftBank on LINE」(LINMOに変更)を発表しました。
イメージとしては、ドコモでいうahamoと同じような位置づけとなり、魅力的なプラン内容となっています。
料金は2,480円で20GBまで利用可能
LINMOは、明らかにahamoに対抗していることが明白なプラン内容となっています。
月20GBまで利用できて、月額2,480円という料金設定です。
ソフトバンク、Y!mobileとともに、LINEとの合弁会社でMVNOのLINEモバイルを展開していますが、今回のLINMOによって完全子会社となる予定です。
これもあって、LINEで使用するデータ通信は20GBの中にカウントされることがありません。
スマートフォンの中でも使用頻度の高いLINEの容量がノーカウントとなるのは、とても大きいですね。
また、データ容量超過時の制限は1Mbpsとなります。
無料通話についても、500円で5分以内無料のオプションがあります(5分を超過した場合は30秒毎に20円がかかります)。
また、月1,500円でかけ放題のオプションをつけることも可能です。
オンライン専用のブランド
LINMOの LINEは、オンラインの意味も込めています。
申込み関連は、全てインターネット上で行うことになります。
このあたりの扱いも、ahamoと同じですね。
eSIMに対応
LINMOは、eSIMに対応しているという点にも注目です。
eSIMとは、スマートフォンなどの端末本体にあらかじめ埋め込まれたSIMのことを指します。
従来のSIMと同様で、ごく小さなチップの形状となりますが、端末から抜き差しすることができません。
また、端末が出荷される時点ではeSIMに携帯電話情報が書き込まれていません。
あとからeSIMが埋め込まれた端末を操作して、プロファイルをダウンロードしてeSIMに書き込むことによって、電話やインターネットなどの通信を利用が可能となります。
複数の携帯電話情報を保存できたり、ひとつの携帯電話情報を複数のeSIMで共有できるので、複数キャリアで契約して、同じスマートフォンで切り替えるという使い方も可能です。
ソフトバンク新プランの概要
引用:ソフトバンク
ワイモバイルや新ブランドのLINEMOだけでなく、ソフトバンクとしてもメリハリ無制限プランを2021年3月に提供開始されることが明らかになっています。
無制限に利用できて6,580円で利用可能
メリハリ無制限は、プラン名通り使い放題のプランとなります。
ただし、テザリングに関しては月30GBまでの制限があります。
この内容は、他の大手キャリアとほぼ同じ内容ですね。
気になる料金は、月6,580円に設定されています。
また、ネットワークはソフトバンクの4Gと5Gが利用可能です。
各種割引が適用できる
メリハリ無制限では、各種割引プランが適用できます。
月間データ使用量が3GB以下の月は1,500円の割引となりますし、ソフトバンク光を利用している場合はおうち割 光セットにより1,000円割引されます。
さらに、新みんな家族割では3人以上で1,100円割引となり、合計すると4,480円で利用する事が可能です。
他にも、SoftBank学割も利用できます。
他社のプランとの料金比較
ソフトバンクは、ほとんど使用しない方向けのワイモバイル、一般的な利用者向けのLINEMO、ヘビーユーザー向けのソフトバンクという棲み分けを狙っているように見えます。
では、それぞれのプランにおいて、他社と比較するとどのような違いがあるのでしょうか。
まずは、ライトやユーザーや一般的な使用量のユーザー向けのプランを比較すると、以下のような違いがあります。
キャリア名 | プラン名 | 月額料金 | 容量 |
ソフトバンク(ワイモバイル) | シンプルM | 2,980円 | 20GB/月 |
LINEMO | LINEMO | 2,480円(5分無料通話500円) | 20GB/月 |
ドコモ | ahamo | 2,980円 | 20GB/月 |
au(UQモバイル) | スマホプランV | 3,980円 | 20GB/月 |
料金的には、最も安いプランとしてワイモバイルのシンプルSがあり、1,980円で利用可能です。
ただし、3GBしか利用できないと考えると、実質的にはシンプルMの利用が視野に入ります。
その点で比較すると、シンプルMとLINEMO、ahamoは月額料金で並んでいます。
ただ、LINEMOの場合はLINEの利用はノーカウントとなるので、よりお得感があるプランと言えます。
5Gを利用されている方は、20GBでも物足りなさを感じる可能性がありますが、ソフトバンクが打ち出した新プランと他社のプランを比較した結果がこちらです。
キャリア名 | プラン名 | 月額料金 | 容量 |
ソフトバンク | メリハリ無制限 | 6,580円 | 無制限 |
ドコモ | 5Gギガホプレミア | 6,650円 | 100GB/月 |
au | データMAX5G | 8,480円 | 無制限 |
一足早くプランを発表したドコモの5Gギガホプレミアより若干低い月額料金に設定して、さらに容量無制限という破格のプランです。
また、テザリングも30GBまで利用できるとあって、ヘビーユーザーにも納得の内容ですね。
各プランにおける懸念点
ソフトバンクは、メインブランドを含めて魅力的なプランを打ち出した形となります。
ただ、各プランは安さが魅力的な反面、懸念されている点があるのは事実です。
各プランにおける懸念点や疑問点として、以下があります。
ワイモバイル新プランの懸念点
ワイモバイルの新プランでは、5Gに対応した形ですが、もちろん5G対応したスマートフォンの準備が必要です。
2020年12月現在、新プランに対応した5Gスマートフォンが明らかになっていません。
可能性として、対応機種が限られる可能性があるので要注意です。
また、比較的通話する機会が多い方の場合、無料通話時間が設定されていないという問題点もあります。
10分以内の国内通話が無料になる通話オプションであるだれとでも定額や、10分を超える国内通話も無料になる通話オプションであるスーパーだれとでも定額(S)に加入することで解消できますが、有料プランとなります。
また、一部無料対象外の通話がありますので、完全に定額で通話できるわけではありません。
5Gサービスについては、回線の質が気になりますが、ソフトバンクと同様の回線品質を確保することがアナウンスされています。
LINEMOの懸念点
LINEMOはeSIMに対応する見込みであると説明しましたが、まだどの機種がラインナップするかが明らかになっていません。
eSIMに対応した機種といえば、iPhoneシリーズやgooleのPixelなどが有名ですが、未対応となる可能性もあるのです。
せっかくのストロングポイントとなりうる可能性があるだけに、有力どころのスマートフォンが使用できることを期待したいですね。
また、LINEMOではキャリアメールの提供がないために、もしキャリアメールを使用している場合は、他のメールサービスに乗り換えなければなりません。
その一方で、LINE使い放題となるのでLINEに完全に乗り換えるという方法も有効的となりそうです。
ソフトバンクとLINEMOは、正確には別のブランドという位置づけになります。
ソフトバンクやワイモバイルからの乗り換えは契約解除料、番号移行手数料、契約事務手数料などについては無料で行えることが明らかになっていますが、手間がかかるのは事実です。
ahamoは、当初はMNPでの乗り換えが必須とアナウンスされていましたが、その後手続き不要で乗り換えることができるようになったことを考えれば、同様の措置を期待したいですね。
テザリングについては利用可能となっており、利用制限はありませんがデータ容量20GBの中で使用することになります。
他にも、気になる点としてLINEモバイルとの兼ね合いがありますが、LINEMOがサービス開始されて移行は一本化されて、新規受付が停止されます。
なお、現在LINEモバイルを利用している方については当面の間は強制移行などは行われない予定です。
LINEMOの場合、すべてをオンラインで処理できる反面、店頭において契約はできません。
また、サポートに対しても従来の電話で行えるかどうかは不透明な部分があります。
メリハリ無制限の懸念点
メリハリ無制限では、テザリングを利用したいという方にも向いたサービスとなります。
ただ、テザリングでの利用には500円の料金が別途必要となるのです。
ドコモの場合はテザリングオプションは無料であることを考えれば、割高感があるのは事実です。
ahamoにも匹敵する内容!
ソフトバンクが打ち出した各種プランは、インパクトの強かったahamoにも十分対抗できる魅力的な内容です。
まだ不透明な部分が多いですが、十分乗り換える価値があると言えます。