無意識のうちに、スマートフォンを触ってしまうという方がいますよね。
確かに、何か調べごとがあればすぐにスマートフォンに頼りますし、何をしているわけでもなく漠然とスマートフォンを握り締めて画面を見ているという方も多いのではないでしょうか?
スマホ依存症などの問題も取りざたされている中で、スマートフォンとうつ病の関係性について徐々に明らかになってきました。
この記事では、スマートフォンとうつの関係性や、その対処法について解説します。
うつ病は増加傾向にある
日本において、100人に3~7人という割合でうつ病を経験した人がいるという調査結果があるほど、うつ病は比較的一般的な病気になっています。
厚生労働省が3年ごとに行っている患者調査においては、うつ病を含む気分障害の患者さんが近年急速に増えていることが指摘されているのです。
うつ病が増えている背景には、1つはうつ病についての認識が広がって受診するケースが増えているという側面があります。
一方で、社会や経済的など環境の影響によって抑うつ状態になる方が増えているのです。
うつ病にもいくつかの種類があって、憂うつな気分や気持ちが重いなどの抑うつ状態がほぼ一日中発症し、長い期間続くというのが代表的な症状です。
このような症状が見られた場合はうつ病と診断されることが多いですが、これだけで診断がついたことにはなりません。
大うつ病と呼ばれるタイプのうつ病があり、それには一定の診断基準があって参考になります。
他にも性格、環境、ほかの病気やこれまで服用していた薬に起因することもあります。
また、これまでに躁状態や軽躁状態の方は、うつ病でなく双極性障害(躁うつ病)と判断されます。
もしうつ病が発症したら、まずは発症した原因となるものを取り除くことが重要です。
ストレスが起因しているのであれば、ストレスの原因となるものを解消することを優先的に行います。
それと同時に、病気などが原因で発症している場合は、その病気の治療を行うと同時に、抗うつ剤の薬を摂取して治療に当たります。
うつ病は、本人だけでなく周囲を取り巻く方のサポートも重要となる病気です。
具体的にどの程度増加しているの?
アメリカの学術誌ジャーナル・オブ・アブノーマル・サイコロジーにおいて公表された論文では、アメリカにおいて2000年以降にうつ症状や自殺行動が見られる若者の割合が急増しているという警告がなされています。
研究チームによれば、SNSに費やす時間が増加して睡眠時間が削られていることが問題であるという結論を出しています。
うつ症状を経験した若者の割合としては2005年の8.7%から2017年には13.2%にまで増加しているのです。
また、18〜25歳においても2009年の8.1%から2017年には13.2%に増えています。
他にも、30日間に深刻な気分の落ち込みを経験した10代後半の若者の割合を見ても、2008年の7.7%に対して2017年には13.1%に増加しているのです。
自殺を考えた経験がある18〜19歳の若者は、2008年の8.5%から2017年には12.4%に増えているなど、確実に増加していることがうかがえます。
スマホ依存症と密接に関連する
精神的な疾患を抱えている方の増加の背景には、スマホ依存症との関連が取りざたされています。
スウェーデン出身の精神科医であるアンデシュ・ハンセンさんの著書であるスマホ脳は、スマートフォンなどのデジタルデバイスがもたらす人体への影響について言及して、世界13か国で翻訳されて大ベストセラーになりました。
気が付けばスマートフォンを触ってしまうスマホ依存ですが、アメリカニューヨーク州のビンガムトン大学の研究者が大学生をターゲットとした研究によると、日常生活でスマートフォンをのめり込んで使用している学生には、抑うつ傾向が見られたとの研究結果が公表されたのです。
同様の研究結果は、このケースだけでなくオーストラリアや中国でも確認されています。
うつ病と同時に懸念される身体的不調としては、ブルーライトと肥満の関連性もあります。
ブルーライトの光には空腹ホルモンとなるグレリンの量を増やす特殊な働きがあることで知られ、食欲を増進させて体に脂肪をためやすくする働きがあると指摘されているのです。
また、ブルーライトは睡眠の質にも影響を及ぼし、精神的ストレスの原因ともなるので、よりうつ病との密接に関係していると言えます。
スマホ依存症を解消する方法
スマホ依存症による鬱を防止するためには、スマートフォンに依存しないような体制を整えることが重要です。
スマホ依存症を解消するための方法としては、以下が有効的です。
休止時間を強制的に作り出す
いくらスマートフォンの依存を脱却しようとしても、完全に使用しなくなるというのは無理な話です。
そこで、少しずつ段階を踏んで行うのが有効的です。
ただ、自分の意思で自発的に使用しなくなるのは難しいものです。
そこで、iOSの場合は休止時間、Androidの場合はおやすみモードを使用してください。
この機能を有効にすれば、着信と自分で追加した例外以外の通知は表示されないので、常に気にする必要はありません。
ヘビーユースするアプリをホーム画面から消す
スマートフォンの中でも、特に使用頻度が多いアプリがありますよね。
そのアプリをホーム画面から消すだけでも、十分に効果を発揮します。
これによって、本当はスマートフォンで時間をチェックするだけのつもりが、ついついSNSアプリを開いてしまうなどを防止できます。
ダークモードにする
アプリ開発者からすれば、より美しいグラフィックを演出したり、ビビッドなカラーリングで目を引かせたいと思うものです。
ユーザー側は、これに誘惑されて使用してしまう傾向にあります。
これを防止する方法としては、ダークモードにするのが有効的です。
ダークモードは、ダークトーンを基調とした画面構成に変化させるモードです。
目に優しく、バッテリー消費を抑えることができるという効果も期待できます。
枕元に置かない
人間が生きていく中で、如何に睡眠の質を上げるかが重要なテーマです。
その睡眠を妨げてしまうのが就寝前後のスマートフォン利用です。
休息の質を下げて健康に悪影響を及ぼすことが懸念されるのですが、これを打ち切るためには枕元にスマートフォンを置かないという対策がベターです。
これによってスクリーンタイムを減少することが可能で、起床時にスヌーズを押し続けることもなくなります。
もし不安に思う方は、目覚ましを併用するのも良いでしょう。
スマホ依存症にならないことが重要!
スマートフォンでうつ病にかからないためには、まずはスマホ依存症にならないようにすることが重要です。
今回紹介した方法を参考にして、適度な利用を心がけましょう。