スマホの端子としてUSB-Cが当たり前になりつつある中、独自のLightning端子を採用し続けるiPhone。
ユーザーからは「早くiPhoneもUSB-Cを搭載して欲しい」という声が多く聞かれます。
そこでこの記事では「USB-Cを採用するのはいつからか」「Lightningとの違いは?」について紹介していきます。
iPhoneがUSB-CではなくLightningを使い続ける理由
ご存知の通り、AppleはiPadやMacなどで続々とUSB-Cを採用。Lightning端子を使っているのはiPhoneやAir Podsなど一部の製品に限られています。
では、一体なぜiPhoneはLightningを使い続けるのでしょうか?
その理由について、Appleのサプライチェーン情報に詳しいMing-Chi Kuo氏(天風國際證券アナリスト)は次のように分析しています。
AppleはLightningケーブルを製造するサードパーティーから莫大なライセンス料を得ている。
USB-Cを採用しないのは、この莫大な額のライセンス料を失いたくないからだろう。
Appleはサードパーティーの製品に互換性を証明するMFi(Made for iPhone)プログラムを展開しています。
引用 : Apple MFi Program
AppleにとってMFi(Made for iPhone)プログラムから得られるライセンス料は、ハード販売以外の収益として大きな割合を占めるとされており、簡単には手放せないというのが主な理由なのでしょう。
また、USB-CはLightningに比べて防水性が低く、純正部品として設計の難易度が高いことも影響しているようです。
このように、収益面からLightningを継続したいAppleですが、ついにUSB-Cへの移行を前向きに検討する「ある理由」が出てきたようです。
EUがUSB Type-C法案を可決。USB-Cへの移行が決定的に
EU(ヨーロッパ連合)は6月7日、2024年秋までにすべてのスマートフォン、タブレット、デジタルカメラなどの端子をUSB-Cに統一するUSB-C Type-C法案を可決しました。
これは、すでにUSB-Cケーブルや充電器を持っているユーザーが、新たな電子デバイスを購入する際に追加で付属品を購入する経済的負担をなくすため。
つまり、AppleはEU加盟国でiPhoneを販売する以上、LightningからUSB-Cへの移行を行う必要が出てきたわけです。
ただし、Phoneの設計上、販売地域によってUSB-CとLightningの仕様を分けることは困難です。
このため、iPhoneをはじめすべてのApple製品はUSB-Cへ完全移行する可能性が高いでしょう。
実際、EUのUSB-C Type-C法案可決を受け、Apple関連の情報に詳しいBloombergのMark Gurman記者は「確かにAppleはUSB-Cへの切り替えを計画しており、USB-Cコネクタと古いモデルへの変換アダプタをテストしている」と語っています。
New story: Apple is indeed planning a switch to USB-C from Lightning for the iPhone, testing future models with the connector as well as an adapter for old accessories. Move would better unify Apple device charging and meet incoming European mandate. https://t.co/hEYORwnqJO
— Mark Gurman (@markgurman) May 13, 2022
iPhoneがUSB-Cを採用するのはいつから?
それでは実際にiPhoneがUSB-Cを採用するのはいつからになるのでしょうか?
先に紹介したMing-Chi Kuo氏(天風國際證券アナリスト)は「最新の調査によると2023年後半に発売されるiPhoneからUSB-Cを採用するようだ」と語っています。
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My latest survey indicates that 2H23 new iPhone will abandon Lightning port and switch to USB-C port. USB-C could improve iPhone's transfer and charging speed in hardware designs, but the final spec details still depend on iOS support.— 郭明錤 (Ming-Chi Kuo) (@mingchikuo) May 11, 2022
つまり、2022年に発売されるiPhone14では引き続きLightningを搭載。2023年に発売されるiPhone15からUSB-Cを搭載する可能性が高いということです。
EUのUSB-C Type-C法案では「2024年からUSB-Cを義務付ける」としていることから、iPhoneが1年前倒しでUSB-Cへ移行というのは妥当な話ではないでしょうか?
USB-CとLightningとの違いは?USB-Cのメリットは?
iPhoneに搭載される可能性が高まるUSB-Cですが、これまでのLightningとはどう違うのでしょうか?
ここでUSB-Cのメリットと合わせて考えてみましょう。
汎用性が高い
ご存知の通りUSB-Cはスマホやタブレットをはじめ、あらゆる電子デバイスで採用されており汎用性の高さが魅力です。
すでにUSB-C充電器やケーブルを持っている方は買い足す必要がなく、必要な場合は家電量販店やネットで安価で購入できるのもメリットのひとつではないでしょうか?
データ転送速度が速い
現在iPhoneで利用されているLightningはUSB2.0規格でデータ転送速度が遅く、デメリットの一つとされています。
これに対してUSB-Cは最新のUSB-C3.1規格。データ転送速度は理論値でLightningに比べ最大10倍といわれています。
充電速度アップの可能性が高い
現在発売されているiPhoneは、iPhone13/12シリーズが約20W、iPhone 8〜iPhone11シリーズまでが約18Wの急速充電に対応しています。
これに対してUSB-Cの急速充電規格USB PD(USB Power Delivery)では最大100Wの大容量給電が可能となっています。
急速充電についてはハード側の設計に負うところが大きいですが、USB-Cの採用で充電速度がアップする可能性も高そうです。
USB-Cのデメリットは?
一方、iPhoneがUSB-Cを採用することでいくつかデメリットも考えられます。
Lightningケーブルが無駄になる
すでにiPhoneを使っている人なら、予備を含めて複数のLightningケーブルを持っている方も多いでしょう。
しかし、iPhoneがUSB-Cを採用すると、これらLightningケーブルが無駄になってしまいます。
Appleは今後、全製品の端子をUSB-Cへ移行する可能性が高いので、すでにLightningケーブルを複数持っている方には比較的大きなデメリットといえるかもしれません。
既存のLightningデバイスでアダプタが必要となる
Air PodsやiPod、Mac用のMagic Keyboardなど、現在Lightningを採用しているデバイスは多数あります。
このため、USB-Cが普及することによって既存のLightningデバイスを利用するにはUSB-CからLightningへの変換アダプタが必要となってしまいます。
USB-Cは規格が複雑
USB-Cは汎用性が高い反面、規格が複雑というデメリットもあります。
例えばデータ伝送のみ対応していて給電不可なケーブルやデータ転送速度の遅いケーブルなど。
また、中には粗悪なケーブルや充電器も販売されているようです。
このため、品質を担保するにはApple純正品や大手メーカーの製品を選ぶ必要が出てくるかもしれません。
まとめ
「iPhoneがUSB-Cを採用するのはいつから?」「Lightningとの違いは?」についてまとめてきました。
最後にもう一度要点を確認しておきましょう。
- iPhoneがUSB-Cを採用するのは2023年モデルiPhone15からの可能性が高い
- USB-CとLightningとの違いは汎用性の高さ・データ転送や充電の速度
- USB-Cは規格が複雑なので購入する際には注意が必要