iOS9.3から実装され、現在は標準装備となっている「Night Shift(ナイトシフト)」。
これは、iPhoneから発せられるブルーライトを、ある程度カットできるという趣旨の機能です。
そしてブルーライトカットにより、睡眠の質を高めようというのが、一つの目的ですね。
夜寝る前には、ナイトシフトを利用している人も多いのではないでしょうか?
しかし、iPhoneのナイトシフトには効果がない、という話も聞いたことがあるはずです。
実際、効果が実感できていないケースもあるでしょう。
今回は、iPhoneのナイトシフトにおける効果について、詳しく解説します。
iPhoneのNight Shift(ナイトシフト)は、睡眠にはほぼ効果なし
結論から言うと、iPhoneのナイトシフトは、睡眠に対して効果を与えるとは考えづらいでしょう。
米国のBrigham Young大学が主導した研究では、「iPhoneでナイトシフトを利用したところで、睡眠に対して特別は効果なし」だと結論づけられました。
この研究においては、以下のような実験が行われています。
- Aの被験者グループに、「就寝1時間前にナイトシフトを使ってもらう」
- Bの被験者グループに、「就寝1時間前にナイトシフトなしでiPhoneを操作してもらう」
- Cの被験者グループに、「就寝1時間前に、そもそもiPhoneを触らない
そして、「A・B・Cともに睡眠の質は変化していない」という結果が出ました。
つまりiPhoneでナイトシフトを利用したからといって、大した効果はないというように言えそうです。
しかも、「ナイトシフトに効果がないどころか、むしろ睡眠に悪影響を与える」という指摘すらあります。
これは、Manchester大学の発表で指摘されたことです。
同大学の研究チームによれば、
- ブルーライトをカットする
- iPhoneから発せられる光から寒色系のものが除去される
- 目が、暖色系の光だけを受け取る
- それを見て、脳が「今は昼間だから、寝る必要はない」と誤認してしまう
といったことがあるようです。
もしこれが事実なら、ナイトシフトを利用する理由はほとんどないでしょう。
時々Appleは、iPhoneにいまいちパッとしない機能を追加することがあります。
あまり効果がないナイトシフトも、そういった機能のひとつと言えるでしょう。
少なくとも筆者は、ナイトシフトで睡眠を改善できるとは思わないし、今後使うこともないと思います。
<参考>
ただし、ブルーライトカットは大切
ただしiPhoneのナイトシフトは、まったく意味がないわけではありません。
たしかにナイトシフトは、睡眠を向上させるものではないでしょう。
いっぽう睡眠とは関係なく、ブルーライトをカットできる効果はあるのです。
ブルーライトには、目に対してさまざまな害があると言われています。
具体的には、以下のようなことが起こるかもしれません。
- 眼精疲労
- 視力の低下
- ドライアイ
- 視界がぼやける
- 頭が痛くなる
- 肩こりする
- 倦怠感を感じやすくなる
- 慢性的な疲労感を覚えるようになるetc...
iPhoneから発せられるブルーライトのもたらす悪い効果がどれほどのものか、まだ研究途上である部分は否めません。
ただしブルーライトの悪影響に関する記事を眼科医が発表するなど、その信憑性は高そうです。
これだけ人体に害を与えそうなブルーライトがカットされる機能があるなら、使い道はあります。
ブルーライトカットを目的として、ナイトシフトを利用するというのは、おおいに有効だと言えるでしょう。
ちなみにナイトシフトは、開始時刻や終了時刻を設定するなど、割と気の利いたことができます。
また画面のカラーリングもある程度変更することが可能です。
うまく使いこなせば、ブルーライトによる悪影響を低減しつつ、快適にiPhoneを利用できるでしょう。
iPhoneのNight Shift(ナイトシフト)を使わず、睡眠の質を高めよう
iPhoneのナイトシフトが、睡眠に対してあまり効果がないとは、わかってもらえたと思います。
絶対ではないですが、少なくとも睡眠を向上させるとは考えづらいでしょう。
むしろ、「ナイトシフトは逆効果」という指摘もあるくらいです。
睡眠を向上させるなら、ナイトシフトではなく、他の方法を取る必要があります。
もっともシンプルな解決方法は、「就寝1時間前にはiPhoneを使わない」というのが現実的に挙げられるでしょう。
ナイトシフトはさておき、iPhoneを利用するなら、やはり何かしらの光を浴びることには変わりありません。
iPhoneから発せられる光は、睡眠に必要な「メラトニン」という物質の分泌量を低下させることが指摘されています。
iPhoneの光により、脳が「今は昼間のようだ」と感じて、メラトニンの分泌を避けてしまうわけですね。
そのように考えれば、就寝前にiPhoneを操作するべきではありません。
(参考:いりたに内科クリニック)
それでもiPhoneを触りたくなるときには
ただ、「寝る直前にこそiPhoneを触りたい」と感じている人も多いでしょう。
むしろ、それが一日の最後の楽しみになっているかもしれません。
もし、どうしてもiPhoneを触りたくなるというのなら、「iPhoneを枕元には置かない」という対策がおすすめ。
とにかく手の届く範囲にiPhoneがあると、触りたくもなってしまいます。
しかし一度起き上がらないと届かない範囲にiPhoneを置いておけば、基本的には取りには行かないはずです。
とにかく就寝時、ベッドにはiPhoneを一緒に持ち込まないようにしましょう。
まとめ
もはやiPhoneの標準装備となったナイトシフト。
夜寝る前には、ナイトシフトがONの状態で、iPhoneを触るのが習慣となっている人も多いでしょう。
しかし、残念ながら「ナイトシフトには大した効果がない」と考えざるを得ない研究データが、いくつも発表されています。
基本的にはナイトシフトで、「睡眠への影響がマシになる」とは、考えるべきではないでしょう。
寝る前には、「iPhoneを触らない」というのが、一番の解決方法だと言えそうです。